東洋医学の羅針盤

東洋医学、鍼灸に基づいた健康維持について書きます

毫鍼だけでは改善できなかった患者との出会い ― 私が刺絡を学んだ理由

鍼灸師になりたての頃、私は毫鍼を中心に治療を行っていた。

学校や講習会で学んだ知識と技術を頼りに、日々患者と向き合い、一人でも多くの患者を良くしたいという思いで臨床に励んでいた。

その頃は、毫鍼のみを使い治療していた。

 

しかし、ある膝痛患者との出会いが、私の臨床を大きく変えることになる。

その患者は、どうしても改善しなかった。

経穴を変え、刺激量を変え、治療法を工夫しても、期待するような変化は得られない。

「なぜ治らないのか。」

その問いが頭から離れず、自分の未熟さを痛感する日々が続いた。

その時、学生時代に目にした一つの治療法が脳裏によみがえった。

井穴刺絡である。

 

当時は刺絡について体系的に学んだわけではなく、知識も技術も十分ではなかった。

それでも、「何とか患者を良くしたい」という思いだけは強かった。

私は毫鍼を用いて足趾から少量の瘀血を出した。

今振り返れば、お粗末な技術である。

しかし、その患者には予想以上の変化が現れたのである。

この経験は私にとって忘れることのできない出来事となった。

「刺絡には、まだ自分の知らない可能性がある。」

そう確信した瞬間であった。

 

その後、私は刺絡を本格的に学ぶことを決意した。

刺絡学会理事であった南利雄先生から、工藤流刺絡、江戸時代に行われていた刺絡術や古典医学に記された刺絡について学び、研鑽を重ねてきた。

学べば学ぶほど、江戸時代の名医たちがなぜ刺絡を重視していたのかが理解できるようになった。

そして臨床を積み重ねる中で、毫鍼だけでは変化を得にくい症例に対して、刺絡が有効な選択肢となる場面を数多く経験してきた。

もちろん、私は毫鍼を否定するつもりはない。

毫鍼は鍼灸治療の基本であり、多くの患者を改善へ導く優れた治療法である。

 

しかし、長年臨床を続けていると、「もう一つ治療の引き出しがあれば」と感じる症例に必ず出会う。

そのような時、私にとって刺絡は欠かすことのできない技術となった。

現在でも、毫鍼と刺絡、それぞれの長所を活かしながら日々の臨床にあたっている。

振り返れば、私を成長させてくれたのは、治せなかった患者との出会いであった。

もしあの膝痛患者に出会っていなければ、私は刺絡をここまで深く学ぶことはなかったであろう。

だからこそ、あの患者との出会いに感謝している。

 

治療家を成長させるのは成功体験だけではないと考えている。

むしろ、思うように治せなかった経験こそが、新たな学びへの扉を開いてくれる。

刺絡との出会いも、まさにその一つであった。

もし、毫鍼だけでは改善しない症例に悩み、治療の幅を広げたいと考えているのであれば、一度刺絡という技術に目を向けてみていただきたい。

刺絡は決して特殊な治療法ではない。

古くから多くの名医によって受け継がれ、臨床の中で磨かれてきた、実践的な治療技術なのである。

 


刺絡を体系的に学びたい方へ

もし、

  • 毫鍼だけでは改善しない症例に悩んでいる

  • 治療の引き出しを増やしたい

  • 刺絡を基礎から体系的に学びたい

  • 治せる治療家を目指したい

  • 刺絡講習を受けたいが遠くて行けない、時間がない。

そう考えているのであれば、「刺絡オンライン基礎講座」をご覧いただきたい。

本講座では、刺絡の理論、安全管理、井穴刺絡・皮膚刺絡・細絡刺絡の基本技術を、初めて学ぶ方にも理解でき、これを見れば基本技術がしっかり身につくよう体系的に解説している。

 

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講師プロフィール

川内良典

はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師

鍼灸師になりたての頃、毫鍼だけでは改善できない膝痛患者との出会いをきっかけに刺絡を学び始める。

その後、刺絡学会理事であった南利雄先生に師事し、工藤流刺絡、江戸時代の刺絡術、古典医学に記された刺絡を学ぶ。

現在は、毫鍼と刺絡を組み合わせながら臨床を行うとともに、古典医書に記された刺絡の研究・普及にも取り組んでいる。

日本刺絡学会 評議委員 / 刺絡基礎実技講習 講師

東洋医療専門学校 元鍼灸実技講師

 

【治療を受けたい方】

・刺絡治療を受けてみたい。

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山田知生 (著)『スタンフォード式 疲れない体』 サンマーク出版 を読んで

スタンフォード式』というタイトルには少し抵抗があったが、読んでみると参考になる部分や納得できる点も多かった。

本書の主題は「IAP呼吸法」のようである。

呼吸の仕方は健康維持にとても重要な要素であり、その点が興味深かった。

 

IAP呼吸法の詳しい内容は本書を読んでいただきたいが、簡単に説明すると「腹圧を上げたまま行う呼吸法」である。

息を吸うと横隔膜が下がり、お腹が膨れる。この膨らんだお腹を凹ませずに、圧をかけたまま息を吐くのが特徴だ。

一般的な腹式呼吸では息を吐く際にお腹を凹ませるが、本書ではそれを否定的に捉えている。この点には共感する部分があり、非常に重要だと感じた。

 

以前にも書いたが、お腹をへこませると上腹部や胸部がロックされ、リラックスしづらくなり、健康にも悪影響を及ぼす。

逆に、お腹を凹ませずにリラックスして息を吐くと、丹田に充実感が生まれ、体が安定する。

本書では「お腹を凹ませずに、腹圧を上げたまま吐き、お腹を固める」と書かれているが、「お腹を固める」という表現は誤解を招く可能性があるのではないかと感じた。

人によっては、無理にお腹に力を入れてしまうかもしれない。

これは言葉で説明するのが難しい部分だが、私の考えでは、「丹田に息を吸い、腹圧が上がり、息を吐くときはリラックスして吐くことで、自然と丹田に充実感が生まれ、良い呼吸ができる」のが理想的だと思う。

 

本書では「疲れの4兆候」が示されたあとに、突然IAP呼吸法を行うことで疲れを軽減できると書かれており、全体を通して科学的なエビデンスに基づいていることが強調されている。

ただ、その論理展開には少し飛躍があるようにも感じた。

しかし、呼吸法が疲労の軽減に役立つこと自体は実感できる。

特に、「お腹を凹ませない」という考え方を知るだけでも、この本には十分な価値があると感じた。

 

最近の日本では筋トレがブームになっているが、本書では「筋肉だけを鍛える筋トレ」よりも「神経の伝達を重視するトレーニング」のほうが重要であると述べられており、この点には納得できた。

非常に参考になる内容だった。

また、怪我をした際には「最初の24時間はアイシングをし、それ以降は温めて血流を促したほうが治りが早い」という点も、実用的で役に立つ情報だった。

 

食事に関しても興味深い記述があった。

甘いものや炭酸飲料を摂ること、ドカ食い、朝食や昼食を抜いて1回の食事量が増えてしまうことが血糖値の急上昇につながり、健康に良くないという点には納得できる

。ただ、食事に関するエビデンスを示すのは難しいとも思う。

本書では精製された食品ではなく、玄米や雑穀を推奨しているが、消化が悪いため胃腸が弱い人には合わない場合もある。

また、「タンパク質を炭水化物の3倍摂るべき」と述べられているが、赤身肉の摂りすぎががんの原因になるというエビデンスもあるため、注意が必要だ。

さらに、本書では生野菜を勧めているが、本当にすべての人にとって良いのかどうかについては疑問も残る。

 

本というのは、すべての内容に納得する必要はない。

一つでも自分にとって役立つ情報があれば、それだけで価値があるものだ。

健康や呼吸法に関心がある方には、参考になる部分が多い一冊だと思う。

鍼灸治療を受けるなら刺絡治療が効果的

養生をしっかりすることがまず大切です。

その補いとして鍼灸治療を受けることは大きな助けとなります。

自分で毎日歯を磨いて、届かないところは歯医者さんのプロに任せるみたいなものです。

 

鍼灸治療と言っても多くの流派があり、様々なやり方があります。

では何を選んだらよいのか。結論を先にいうと全身丁寧に刺絡治療をしてもらうことが一番効果があります。

鍼治療というと細い鍼を体に刺して置いておく、毫鍼の置鍼療法を思い浮かべることが多いと思いますが、それ以上に大切な鍼があります。

それが刺絡治療です。

 

よく名人芸のように一本鍼なんていうのがありますが、健康管理には向きません。

首肩背中できれば手足まで全身きちんと治療をしてくれるところを選びましょう。

でも意外と毫鍼治療は下手なところが多いです。

置鍼は効果が悪いです。

お灸は自分でするものです。

 

鍼灸治療には大きく分けて3つの方法があります。

血の治療、気の治療、温める治療、それぞれ刺絡治療、毫鍼治療、お灸治療が該当します。

刺絡治療を受けるのが一番いいと言いましたが、本当は病態によってこの3つを使い分ける必要があります。

刺絡で効くものもあれば、毫鍼で効くものもあり、お灸で効くものもあります。

特に刺絡と毫鍼を当院ではよく使います。

 


では 3つとも 全てしてもらえればいいのではないかと思われるかもしれませんが、3つとも全ての治療をすると時間がかかってしまい料金が高くなってしまいます。

1回の治療で丁寧に3つとも全てやってもらうと刺激量が大きすぎて現実的ではありません。

ファーストチョイスをするのなら刺絡ということです。

健康管理をするなら当院なら丁寧に刺絡治療をしてくれる治療院を選びます。

刺絡は絵画でいうとデッサンみたいなものです。

これがないと本当は鍼灸治療は成り立たないのです。

でも意外と知られていません。

 


 歴史的に見て、 刺絡治療は全世界各地で行われていますが、 毫鍼治療は中国や日本、韓国などの特定の地域でしかされていませんでした。

中国伝統医のバイブルとなる素問、霊枢という文献では、体が非常に弱っている場合を除いては刺絡治療をまず行うという記述があちこちに見られます。

また臨床記述の7割ほどは刺絡治療です。

 


東洋医学の病理学的見地から見ても刺絡治療が最も必要であり、効果が高いことがわかります。

東洋医学では気血水の滞りから病気になると言われます。

この中で慢性病、難病につながるのが血の滞りです。気が最も動きやすく、次が水、血は固まるので最も動きにくいです。

刺絡治療は皮膚に1~3ミリくらい鍼を刺して、流れにくくなった血液を排除し、血の滞りを解消するのが刺絡治療です。

人体の気や血が流れる道を経絡といいます。この経絡を川に例えると、刺絡治療は川のヘドロを取るようなものです。

刺絡治療でヘドロを取ってから毫鍼で気の流れを整えます。まずは刺絡治療で体のヘドロを取ってしまわなくてはなりません。

刺絡治療は大型重機のように動かす力が大きいのですね。

普段から刺絡治療を行っておくと病気になりにくく、健康維持に役立ちます。

 


技術の面から言っても 刺絡治療が最も術者の差が出にくい治療です。

毫鍼治療は鍼の深さ、角度、刺激量、手技など多くの要素が関わってくるので、難しいです。

また一般的に置鍼という人体に鍼を刺しておいておく方法がよく取られますが、この方法が本当に効果の良い治療なのかどうか疑わしいです。

気を動かすには鍼を動かす手技が大切であると思っています。

 


でも刺絡治療をする人が昔に比べてかなり減ってしまいました。

また刺絡は技術の差が出にくいと言っても、やはり上手下手があります。

受けるのならば日本刺絡学会の基礎講習の終了者の治療院がいいでしょう。

日本刺絡学会の講習会の講師の先生ならより良いでしょう。

でも全身を丁寧にしてくれる先生というのは忘れないようにしてください。

指先の井穴刺絡は自分でもできるようにしておくと非常に役立ちます。

 

 


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講師プロフィール

川内良典

はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師

鍼灸師になりたての頃、毫鍼だけでは改善できない膝痛患者との出会いをきっかけに刺絡を学び始める。

その後、刺絡学会理事であった南利雄先生に師事し、工藤流刺絡、江戸時代の刺絡術、古典医学に記された刺絡を学ぶ。

現在は、毫鍼と刺絡を組み合わせながら臨床を行うとともに、古典医書に記された刺絡の研究・普及にも取り組んでいる。

日本刺絡学会 評議委員 / 刺絡基礎実技講習 講師

東洋医療専門学校 元鍼灸実技講師

 

 【治療を受けたい方】

 ・刺絡治療を受けてみたい。

 ・受けるかどうかは迷っているが、刺絡治療について詳しく知りたい 。

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その他、気をつけるべき養生法

過度の性交渉はいけません

中国伝統医学では房事過多と言って、セックスのし過ぎを戒めています。

腎の機能を弱らせてしまいます。

腎は元気の源となり、弱ると老化が進み、病気になりやすくなります。

特にお酒を飲んでからの性交渉はいけません。



過労、働きすぎ、ストレス過多を避ける、逆に働かず、体を動かさず、怠けてはいけません

中国伝統医学では労逸が病の原因としてあげられています。

労は過労、働きすぎ、ストレス過多、逸は逆に体を動かさず怠けることです。

当院は欲から過労となり、大きく体調を崩してしまいました

。養生訓の著者である貝原益軒も「健康よりも財を望むことは愚かである」「自分の力量をこえて働いてはいけない」と戒めています。

当院のように健康を損なってから、しまったとならないように、欲を抑え、自分の力量をよく考えてください。

逆に働かず、体を動かさずに怠けすぎることも健康を損ないます。



外邪(風、寒、暑、湿、燥、火・熱)、疫癘(感染症)を避ける

強い風、冷やしすぎ、暑すぎ、湿気の多いところにいる、過度の乾燥などは体の元気を弱らせたり、血流やリンパの流れを悪くし、病気の原因となります。

また感染症が流行っているところは避けましょう。

感染症が流行っているときは、手洗い、うがい、マスクなど見合った公衆衛生を行うことが必要です。

 

自然に親しみましょう

どこか遠くに行かなくても月を見たり、庭の木や花を見ることもできます。

近所を散歩することもいいでしょう。

たまには大きな公園や、ハイキングに出かけるとより効果があります。

 

音楽を効いたり、月を見たり、心の糧となる古典に親しむのも良いでしょう。

高僧白隠禅師のイメージ療法「軟酥の法」

軟酥の法とは、「駿河にはすぎたるものが二つあり 富士のお山と原の白隠」と称された白隠禅師が著した『夜船閑話』に記された治療法です。

この著作は、白隠禅師が修行のし過ぎで身体を壊された時の闘病録と治療方法が書かれています。

 

この軟酥の法は、イメージを使うだけで、お金もかからず、効果の高い治療法です。

本文には「もし怠らず懸命に行えば、どんな病気でも良くなる」と書かれています。

覚えておくと必ず役に立つでしょう。

オリジナルを読むことは大切です。

軟酥の法の部分の原文と意訳を以下に載せておきます。

 

【原文】

『予が曰く、酥を用ゆるの法得て聞いつべしや。

幽が曰く、行者定中四大調和せず、身心ともに勞疲する事を覺せば、心を起して應に此の想をなすべし、譬へば色香淸淨の輭酥鴨卵の大さの如くなる者、頂上に頓在せんに、其の氣味微妙にして、遍く頭顱の間をうるほし、浸々として潤下し來つて、兩肩及び双臂、兩乳胸膈の間、肺肝腸胃、脊梁臀骨、次第に沾注し將ち去る。

心に隨つて降下する事、水の下につくが如く歴々として聞あり、遍身を周流し、雙脚を温潤し、足心に至つて即ち止む。

行者再び應に此の觀をなすべし、彼の浸々として潤下する所の餘流、積り湛へて暖め蘸す事、恰も世の良醫の種々妙香の藥物を集め、是れを煎湯して浴盤の中に盛り湛へて、我が臍輪以下を漬け蘸すが如し、此の觀をなす時唯心の所現の故に、鼻根乍ち希有の香氣を聞き、身根俄かに妙好の輭觸を受く。

身心調適なる事、二三十歳の時には遙かに勝れり。

此の時に當つて、積聚を消融し腸胃を調和し、覺えず肌膚光澤を生ず。若し夫れ勤めて怠らずんば、何の病か治せざらん、何の德か積まらざん、何の仙か成ぜざる、何の道か成ぜざる。

其の功驗の遲速は行人の進修の精麤に依るらくのみ。』

 

 

【意訳】

 「酥を用いる治療法を教えていただけないでしょうか」私(白隠)が訊ねた。

白幽子がこたえた「修行中のものが病気になり、心身共に疲弊を感じた時、一念発起し、軟酥の法を行いなさい。

 

例えば色香が清浄なカモの卵くらいの大きさの軟酥(バターのようなもの)が頭の天辺に載っていることを想像せよ。

この軟酥の気味は何ともいえない絶妙なものであり、だんだん溶けていって、あまねく頭全体を潤し下って、肩、両腕、両乳、胸と横隔膜の間、肺肝胃腸の五臓六腑、背骨、骨盤を次第に潤し下る。

この時に胸のつかえ、腫塊は、心に従い下りていくことは、水が高きより低きに流れるが如くである。

全身をあまねく流れ、両脚を温め潤して、足裏に至って終わる。

 

修行者は何度もこのイメージを行わなければならない。

この軟酥がだんだんと潤し下り、積もり積もって温め浸すことは、あたかも良医が妙香の薬物を集め、煎じて浴槽に入れて、自分の臍より下をつけ浸すようである。

この軟酥の法を行う時、心がイメージしたように鼻にめずらしい香りを嗅ぎ、全身は妙好の感覚がある。

心身が調い、二、三十歳の時よりはるかに体調が良くなる。

このとき身体のつかえ、腫塊を融解し、胃腸を調和し、皮膚の色艶が良くなる。

もし怠らず懸命に行えば、どんな病気でも良くなる。

どんな徳でも積める。

どんな仙人にでもなれる。

どんな道でも成し遂げることができる。

効験の遅速は修行者が丁寧に懸命におこなうか、荒っぽく、いい加減に行うかによる。」

(意訳byりょうてん)

 

イメージさえできれば簡単です。

頭の天辺に軟酥というバターのようなかぐわしい塊があり、それが溶けて体を降りていき、身体全体に浸透し、悪いものを溶かし、足の裏まで降りていきます。

このイメージを何回も行います。

バターが嫌いなら自分の好きなものでイメージすればよいです。

きれいな滝の水を頭からかぶることをイメージする気功法もあります。おなじ意図です。

効果は折り紙付きで、効果の遅速は懸命さによると書かれています。

 

恬淡虚無(てんたんきょむ)、何事にもとらわれない心で

心の問題については未熟なため、良い答えを出すことができません。

しかし心のコントロールは難しいですが、大切です。

大きな出来事があった時、心の重要性が分かります。

平時から訓練しておかないと、いざとなった時あわてふためき、心が萎えてしまいます。

  • 真の意味での宗教
  • 哲学
  • 心理学
  • 瞑想など

普段から学んでおくことをおすすめします。

 

仏教では貪瞋痴(とん・しん・ち)、貪り、怒り、無知が苦しみを作るといっています。

また菩提心、他人に対するあわれみの心や慈しみの心を育てる重要性を説いています。

養生法を著した貝原益軒先生も貪り(欲)、怒り、憂い、思い悩みが健康を損なうと書いています。

 

東洋医学(中国古代医学)には「恬淡虚無」と言う言葉が出てきます。

これは「物事にこだわらず、心にわだかまりを持たないこと」という意味です。

この言葉は『素問』という文献の『上古天真論』という章に載っています。

『素問』は中国古代医学の根幹をなす文献であり、バイブルに相当するものです。

『素問』の『上古天真論』には、病気にかからず健康を保つための要素が書かれています。以下はその文章です。

 

【書き下し文】

夫れ上古の聖人の下を教ふるや、皆之を謂うに虚邪(きょじゃ)賊風、之を避くるに時有り。

恬淡虚無なれば、真気之に従い、精神内に守り、病いづくんぞ従い来たらん。

是れを以て志閑なれば欲少なく、心安んじて懼(おそれ)ず、形を労して倦(う)まず、気に従ふを以て順となし、各おのおの其の欲するに従ひて、皆な願う所を得る。

 

故に其の食は美にして、其の服を任じ、其の俗に楽しみ、高下相慕はず、其の民故に朴(ぼく)と曰ふ。

是れを以て嗜欲も其の目を労する能はず、淫邪も其の心を惑はすこと能はず。

愚智賢不肖(ぐちけんふしょう)も物に於いて懼さず、故に道に於いて合し、所以ゆえに能く年皆な百歳を度して、而して動作衰えざる者にて、以て其の徳を全くして危(あやう)からざるなり。

 

【現代語訳】

太古の聖人が下々を教化するに、虚邪の人を害するを避けるには時機というものがあるという。

恬淡虚無であれば、真気が順調に流れ、精神は内守り、どうして病が入り込む余地があろうか(入るこむ余地はない)。

心がゆったりとしていれば、欲は少なく、心は安らかで、何事にも心配することなく、体を使いすぎたり、怠け過ぎたりすることもないので、気のめぐりのままに従い、それぞれの欲するところに従って、皆がその願う所を得ることができる。

 

だから、食べものをおいしくいただき、衣服もあるものでよしとし、世の中を楽しんで、身分や高下を羨ましがらず、人々は朴訥であると言われる。

嗜欲が人々の目をまどわせ、労することはなく、淫邪が人々の心を惑わすこともない。

誰もが何かに捉われるということなく、道に従うので、百歳になっても動作が衰えない。

徳を全うし、危うきことはないのである。

 

 

以上のように、中国古代医学は老荘思想を取り入れています。

小賢しく振る舞うよりも、朴訥で無欲な心を持つ方が、心が穏やかになり、病気にもかからず、万事うまく運ぶと言えます。

しかし人間はどうしても小賢しく、小さなことにこだわってしまうものです。

これでは自ら寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。

自らへの戒めも込めて、常に恬淡虚無の心構えを忘れずにいたいものです。

重要 腹式呼吸(丹田呼吸)は吐くときに力を入れてお腹を凹ませてはいけない

呼吸法は 健康法の中でも非常に効果の高いものです。

健康のために何から行うのがいいのかと考えますとまずは呼吸と食事です。

食事は別のところに譲るとして、今回は 呼吸法について書きたいと思います。

非常に効果が高い 呼吸法なのですが、やり方を間違えてしまうと逆に体を悪くすることもあります。

私自身やり方を間違ったために 逆流性食道炎にかなりの間悩まされました。
 

よく腹式呼吸丹田呼吸の説明に息をしっかり吐ききると書かれています。

しっかり吐き切れば吸気は勝手に入ってくると説明しているものもあります。

これを見てしっかり吐ききらないとと思ってお腹に力を入れてへこまして吐ききる方がおられます。

しかし、これをやってしまうとおへそから上が緊張してしまい上実下虚となってしまいます。

これでは体を悪くしてしまいます。
 

呼吸というのは吸う時に緊張して、吐く時にはリラックスして行くことが大事です。(本当は吸うときもリラックスしている方がいいのですが、相対的に吸うときと吐くときを比べると吸うときよりも吐くときのほうが力が抜けるということです。)

吐く時にはリラックスして、上腹部や胸を脱力していくことが重要です。

吐く時に徐々に脱力し、完全に脱力した状態に持っていくことが大事です。

そうすると胸や上腹部にあった気が丹田や足元に降りていき、 自然と丹田や 下半身が自然と充実していきます。

よくお腹に力を入れてという人がいますが無理に力をいれるのは誤りです。

吸えば自然と上腹部、下腹部ともに膨らんで力が入り、吐くときにリラックスして、最終的に完全脱力すれば上腹部は凹んで、自然と下腹部や足は充実してきます。

無理に力をいれるのではありません。 


せっかく リラックスして脱力して丹田が充実したのに、お腹に力を入れて凹ましてさらに吐いてしまうとお腹や上半身が緊張してしまいます。

その結果丹田が充実しなくなってしまいます。

もちろん 緊張しているので自律神経も乱れやすくなります。

体に悪いのは当然です。 
 

この間違いをしてる人は結構多いのではないかと思います。

説明が悪いのか、理解が悪いのか、そもそも教える人が呼吸法のやり方を間違っているのか分かりませんが、かなり重要なポイントです。

呼吸法は吐く時が大切なのは間違いではないのですが、 リラックスして最終的に完全脱力させるというところに ポイントがあります。


では吸う時はどうなのか。

あまり吸ってはいけないとか、逆にたくさん吸えとか、色々ありますが、 吐く時ほど 神経質になる必要はないと思います。

私自身はある程度 お腹に向かってしっかり息を入れる方がいいと思います。

養生訓にもたまにしっかり 息を吸い込んだ方がいい と書かれています。

塩谷信男先生の 正心調息法にもお腹にしっかり息を吸うように書かれています。
 

逆腹式式呼吸というものがありますが 、吸う時にお腹に力を入れてへこましては 体が緊張しすぎ良くないと考えます。

本当の逆式呼吸とは 吸う時にお腹をへこませるのではなく、 吐く時にリラックスして最終脱力すれば下腹部が充実してくることを言うのではないかと思います。

吸おうが吐こうが、力を入れてお腹をへこまして緊張させることは体の構造上よくありません。
 

分かりにくい方はあくびをしてみるといいかも分かりません。

あくびをするとまずお腹の方に向けてしっかりと 息を吸い入れ、 吐く時にはハッーとリラックスして吐いていく。

これが正しい呼吸の仕方です。
 

吐く時も吸う時も お腹に力を入れて緊張させてへこまさない。

吐く時は最終的に脱力していく、そうすると下半身に自然と充実感が出てきます。

このことに注意して呼吸法を行ってください。