養生をしっかりすることがまず大切です。
その補いとして鍼灸治療を受けることは大きな助けとなります。
自分で毎日歯を磨いて、届かないところは歯医者さんのプロに任せるみたいなものです。
鍼灸治療と言っても多くの流派があり、様々なやり方があります。
では何を選んだらよいのか。結論を先にいうと全身丁寧に刺絡治療をしてもらうことが一番効果があります。
鍼治療というと細い鍼を体に刺して置いておく、毫鍼の置鍼療法を思い浮かべることが多いと思いますが、それ以上に大切な鍼があります。
それが刺絡治療です。
よく名人芸のように一本鍼なんていうのがありますが、健康管理には向きません。
首肩背中できれば手足まで全身きちんと治療をしてくれるところを選びましょう。
でも意外と毫鍼治療は下手なところが多いです。
置鍼は効果が悪いです。
お灸は自分でするものです。
鍼灸治療には大きく分けて3つの方法があります。
血の治療、気の治療、温める治療、それぞれ刺絡治療、毫鍼治療、お灸治療が該当します。
刺絡治療を受けるのが一番いいと言いましたが、本当は病態によってこの3つを使い分ける必要があります。
刺絡で効くものもあれば、毫鍼で効くものもあり、お灸で効くものもあります。
特に刺絡と毫鍼を当院ではよく使います。
では 3つとも 全てしてもらえればいいのではないかと思われるかもしれませんが、3つとも全ての治療をすると時間がかかってしまい料金が高くなってしまいます。
1回の治療で丁寧に3つとも全てやってもらうと刺激量が大きすぎて現実的ではありません。
ファーストチョイスをするのなら刺絡ということです。
健康管理をするなら当院なら丁寧に刺絡治療をしてくれる治療院を選びます。
刺絡は絵画でいうとデッサンみたいなものです。
これがないと本当は鍼灸治療は成り立たないのです。
でも意外と知られていません。
歴史的に見て、 刺絡治療は全世界各地で行われていますが、 毫鍼治療は中国や日本、韓国などの特定の地域でしかされていませんでした。
中国伝統医のバイブルとなる素問、霊枢という文献では、体が非常に弱っている場合を除いては刺絡治療をまず行うという記述があちこちに見られます。
また臨床記述の7割ほどは刺絡治療です。
東洋医学の病理学的見地から見ても刺絡治療が最も必要であり、効果が高いことがわかります。
東洋医学では気血水の滞りから病気になると言われます。
この中で慢性病、難病につながるのが血の滞りです。気が最も動きやすく、次が水、血は固まるので最も動きにくいです。
刺絡治療は皮膚に1~3ミリくらい鍼を刺して、流れにくくなった血液を排除し、血の滞りを解消するのが刺絡治療です。
人体の気や血が流れる道を経絡といいます。この経絡を川に例えると、刺絡治療は川のヘドロを取るようなものです。
刺絡治療でヘドロを取ってから毫鍼で気の流れを整えます。まずは刺絡治療で体のヘドロを取ってしまわなくてはなりません。
刺絡治療は大型重機のように動かす力が大きいのですね。
普段から刺絡治療を行っておくと病気になりにくく、健康維持に役立ちます。
技術の面から言っても 刺絡治療が最も術者の差が出にくい治療です。
毫鍼治療は鍼の深さ、角度、刺激量、手技など多くの要素が関わってくるので、難しいです。
また一般的に置鍼という人体に鍼を刺しておいておく方法がよく取られますが、この方法が本当に効果の良い治療なのかどうか疑わしいです。
気を動かすには鍼を動かす手技が大切であると思っています。
でも刺絡治療をする人が昔に比べてかなり減ってしまいました。
また刺絡は技術の差が出にくいと言っても、やはり上手下手があります。
受けるのならば日本刺絡学会の基礎講習の終了者の治療院がいいでしょう。
日本刺絡学会の講習会の講師の先生ならより良いでしょう。
でも全身を丁寧にしてくれる先生というのは忘れないようにしてください。
指先の井穴刺絡は自分でもできるようにしておくと非常に役立ちます。