りょうてん公式ブログ

東洋医学、鍼灸に基づいた健康維持について書きます

現代医学からみた食事療法

『食事療法ハンドブック 』第1版 第2刷 中間法人日本臨床内科医会 学術部編より抜粋しました。

 

食事療法を始める前のチェックリスト

■欠食が多い…1日2食だと食べすぎや間食を招く。1日の合計摂取エネルギーが同じでも太りやすい。

■満腹にならないと食べた気がしない…「腹八分」は江戸の昔からの健康法。基本中の基本。

■夕食の量が多い。夜食をとることが多い…睡眠中はエネルギーが消費されずに貯蓄に回り、太りやすい。

■野菜ぎらい…野菜は低エネルギーで食物繊維の宝庫。ほとんどの食事療法に適した食材(例外もあり)。

■脂肪の多い料理が好き…揚げ物などの脂肪が多い料理はエネルギーが高く、肥満になりやすくなる。

■食べるのが早い…早く食べるほど、食べる量が多くなり太りやすい。

■外食の機会が多い…外食は一般的に脂肪や塩分が多い。

■間食をしたり清涼飲料水をよく飲む…栄養バランスが崩れ、しかも摂取エネルギー過剰になりやすい。

アルコール飲料をたくさん飲む…食事のバランスが崩れ、摂取エネルギー過剰になりやすい。

 

エネルギーカット◯秘 テクニック

  • 肉料理の際は、最初に湯通ししたり、網焼きにして、肉の脂を落とす。フッ素樹脂加工のフライパンを使うと調理油が必要ない。
  • サラダには低エネルギーのドレッシングやマヨネーズを。「ノンオイル」と書かれていても、意外にエネルギーが高いことがあるので、ラベルを見て確認する。
  • 小腹が減ったらプチトマトやキュウリ、低エネルギーに調整されているお菓子を食べる。食事の間隔が長くあくときは途中で軽く食べたほうが、次の食事の食べすぎを防げることが多い。
  • 調理に低エネルギーの調味料などを適宜利用する。
  • たくさん食べたいメニューは、夕食ではなく昼食に。

 

ホント?ウソ? あなたの“常識”再チェック!

・野菜のかわりに果物…× 果物は糖分たっぷりで野菜とは別。血糖値や中性脂肪値が高いときは適量を守る。

・野菜はたっぷり食べるとよい…▲ 多くの方には●だが、腎臓病やワルファリン(抗凝固薬)を服用中の方は注意が必要。カリウムが多い青汁(ケール)、ビタミンKが多いクロレラなどは要注意。

・海藻はエネルギーがないのでいくらでもOK…▲ 多くの方には●だが、甲状腺の病気の患者さんは、ヨウ素の多いコンブなどに注意。また、塩分が多い点にも配慮を。

サプリメントでより健康に…▲ 大量にとるのはからだにとって不自然。薬との飲みあわせの心配もあるので、最初に医師に相談を。

酒は百薬の長…▲ アルコールはエネルギーばかりで栄養がない“空のエネルギー”。医師の指示を守ること。

★これら以外にも、テレビで「○○はからだによい」という情報が流れると、そればかり食べる人が出てきます。そういった‘健康情報’を鵜呑みにせず、まずは医師や栄養士、薬剤師に相談してください

幕内秀夫氏の食事療法

幕内秀夫さんはホリスティック医学を目指した「帯津三敬病院」で管理栄養士を務めていました。幕内秀夫著『粗食のすすめ』新潮文庫からの抜粋です。詳しくは本を読んでください。

 

食源病を防ぐ10箇条

①ご飯はきちんと食べる

②穀類は未精製のものに

※胃腸が弱い人は玄米や、分つき米が合わない時があります。(byりょうてん)

③副食は野菜中心にする

④醗酵食品を食べる

⑤肉類を減らす

⑥揚げ物は控えめに

⑦白砂糖の入った食品は避ける

⑧砂糖や塩は未精製の物を使う

⑨できるかぎり安全な食品を選ぶ

⑩食事はゆっくりよく噛んで

 

子供の食生活改善10箇条

①ご飯をしっかり食べる

②飲み物で満腹にしてはいけない

③パンの常食はやめる

④おやつは主食に近いものを優先する

⑤未精製の穀類にする

※胃腸が弱い人は玄米や、分つき米が合わない時があります。(byりょうてん)

⑥副食は季節の野菜を中心にする

⑦発酵食品をきちんと食べる

⑧肉よりも魚介類にしよう

⑨揚げ物は控えめにする

⑩食事はゆっくりとよく噛んで

 

甘いもの、脂っこいものは万病のもと

東洋医学では、甘いものをとり過ぎると脾(現在の膵臓、消化器系統)を傷めると考えられています。

甘いものをとり過ぎると脾が弱り、身体の水液の流れが悪くなり、滞ります。

水液の滞ったものを痰飲といいますこの痰飲は身体の気や血のスムーズな流れを阻害し、怪病多痰と言われるように、水液の滞りは様々な難病を引き起こすします。

 

『日本の長寿村・短命村』著者、近藤正二先生が調査のために志摩の海女を訪ねた時、お土産にお菓子を持っていきました。

その海女は美味しそうに一つだけ食べたあと、二つめには手をつけませんでした。

「なぜ食べないのか」を近藤先生がたずねると、「甘いものを食べ過ぎると潜るのがしんどくなる」という答えが返ってきました。

志摩の海女は身をもって甘いものの欠点を知っていたのです。

 

脂っこいものも摂りすぎると東洋医学では肝に負担をかけると考えられています。

肝は血管が多く、血が多いので、東洋医学では肝は血流量の調整をすると考えられています。

肝に負担がかかると血の流れに滞りが生じ、この滞った血を瘀血といいます。

血は固まりやすいので、難病の原因となります。

脂っこいものをとり過ぎると瘀血が生じ、難病になりやすくなります。

油で揚げたものや肉や魚の摂りすぎ、脂ものではないがお酒の飲み過ぎも瘀血を生むので注意が必要です。

 

糖分も油脂も人体を構成する成分としてとても重要なものです。

取らないのも問題ですが、現在の飽食の時代には、摂りすぎになるきらいがあります。

様々な甘いもの、ハンバーガー、フライドポテト、ポテトチップス、肉や魚の摂りすぎには注意しましょう。

貝原益軒先生も日本人は脾胃が弱いので、薄味、淡味のものを取るように言っています。

 

近藤正二先生著『日本の長寿村・短命村』からみた食の基本

東北大学医学部衛生学教室教授の近藤正二先生著『日本の長寿村・短命村』という本があります。

近藤先生は、日本の津々浦々、990ヶ所の長寿村と短命村を調査し、長寿と短命の原因を探りました。

その結果、長寿と短命を分ける一番の原因は、「食習慣」であることが分かりました。

内容を簡単にいうと次のようになります。

 

長寿村

  • かぼちゃ、人参などの緑黄色野菜、海藻をよく食べる
  • 大豆たんぱくをしっかり取る

 

短命村

  • 魚、肉、米を多く取り、野菜をあまり食べない
  • 単一のものを多く食べる
  • 野菜を食べずに米を腹いっぱい食べる

 

足で稼いだ経験がここにはあります。

『日本の長寿村・短命村』近藤正二著をぜひ読んでいただきたいです。

 

養生の基本は食から

まずは食べすぎない、飲みすぎない。養生の基本は食からです。

食の欲望で病気になっている人の方が圧倒的に多いです。

江戸時代の貝原益軒先生は、『養生訓』で以下のように説いています。

・食べ過ぎると脾胃を傷つけ、諸病を引き起こす。
・少しの量を食すると、脾胃に隙間ができ、気が巡りやすくなり消化がしやすくなる。

・珍しく美味しいものを食べる時は、腹八九分にてやめるべきだ。腹いっぱい食べると後々禍となる。

まずは食べることよりも、何を食べないかをよく考えることが大切です。

体(健康、養生)について

これが最もよい養生法というものはありません。

基本を知って、 自分で 取捨選択しなくてはなりません。

 

操体法を考案した医師の橋本敬三先生は、健康を維持するための要素を4つ挙げています。


・食(食事)
・息(呼吸)
・動(動作)
・想(精神)

 

中国伝統医学では病気の原因を次のようにあげています。

・七情。喜怒哀楽の過剰 精神的ストレス
・六淫(風・寒・暑・湿・燥・火、熱)。強い風に当たる、冷やす、暑すぎるところに長くいるなど、これらの強い邪気に当たると病気を起こす。
・疫癘、感染症感染症が流行っているところに行くと病気になる。
・飲食不節。食べ過ぎ飲み過ぎ。食事のバランスが悪い。添加物など、食が病をもたらす。
・房事過多、セックスの過剰。
・労逸、働きすぎ、過労、ストレス過剰、逆に怠けすぎて体を動かさない。
・怪我や害獣に噛まれる。
・瘀血と痰飲。血液の滞りと体の水分、リンパの滞り。

 

食事だけ、運動だけ、ストレス管理だけ、治療だけというように、健康はこれだけやっていれば大丈夫というものではなく、トータルなものです。

一つ欠けても、大病を起こすこともあります。

食事にどれだけ気をつけていても、ストレス過剰や働き過ぎが健康を害することもあります。

全てに気を使う必要があります。

 

貝原益軒先生は養生の秘訣は畏の一字にありといっています。

外邪をさけ、食べ過ぎ、飲み過ぎ、感情の過剰、働き過ぎ、怠けすぎなどの欲望をコントロールすることが大切です。

養生の全体を知るには貝原益軒著『養生訓』が良いです。

三浦敬三日野原重明の本も参考になります。

 

 

健全なる心と体

『大学』に「徳は本なり、財は末なり」と書かれています。

お金や体さえも死んだ後、持っていけない。持っていけるのは心、御魂だけとも言われます。

何よりも心、御魂を磨くのが最も大事です。
 

ただ体(健康、養生)、 お金、 悩みの解決方法の基本的な知恵を知っていることは、生きていく上、また心、御魂を磨く際に役立ちます。

これが最もいい方法というのはありませんが 、先哲が残してきた知恵はあるので、基本を学び、自分にあったものを選択していくと良いでしょう。

 

心、御魂の磨き方もこれが一番いい教えというのはありません。 

・宗教
・哲学 
・心理学 

などから自分にあったものを取捨選択しましょう。

大事なのは 普段から心を磨こうという態度です。

 

ただ心というのは繊細なものでなかなか自分の思うままにならないというところがあります。

頭で考える よりも、「健全なる肉体に健全なる精神が宿る」というように 体を調整することによって、精神を調整するほうがやりやすいです。

体の調子が良いと、心の状態も良くなります。

逆もしかりです。

精神から肉体、肉体から精神の両方のアプローチが必要です。

 

宗教というのは、真なる意味での宗教心を持つということです。

宗教団体に入ればよいということではありません。

宗教団体は様々な欲望が絡み合っているので気をつけたほうがいいです。

 

心の糧となる書を読んだり、瞑想したり、自然と親しむのも心を磨くためのアプローチです。